AGSエッチング液
鋼のオーステナイト結晶粒は、高温で長時間加熱されると成長し、粗大化する傾向があり、その結晶粒の大きさは鋼の焼入性や冷却後の機械的性質に大きな影響を及ぼします。すなわち、結晶粒が粗大化すると焼入性(焼入深さ)は向上するものの、焼割れの危険性が増加し、また冷却後の機械的性質は低下します。特に切欠じん性は著しく低下するため、材料が脆くなるほど結晶粒度の検査は重要な意義を有します。
この目的に適した腐食液として、種々のものが報告されていますが、いずれもピクリン酸の飽和水溶液に少量の界面活性剤を添加したものが主流となっています。
当研究会の指導のもと、山本科学工具研究社により、これらオーステナイト粒界腐食液について種々の検討および改良を行い、各種鋼材を供試材として実験を重ねた結果、大部分の鋼材に対して実用的に有効な腐食液であるAGSエッチング液を開発しました。
AGSエッチング液は、機械構造用炭素鋼、合金鋼、はだ焼鋼および軸受鋼等について、焼もどし温度のいかんにかかわらず、ほとんどが良好な結果が得られます(工具鋼の一部およびばね鋼では結晶粒界の現出が困難な場合があります)。
なお、焼入状態のままのものについても、焼もどし処理を行ったものと同様に、良好な結果が得られます。
AGSエッチング液は、現在、山本科学工具研究社監修のもと、株式会社 三啓によって製造・販売されています。